受け継がれるもの 京の巧の技
東本願寺のお膝元で和ろうそくを作り続け70年 丹治蓮生堂(たんじれんしょうどう)
丹治蓮生堂さんは創業以来、北海道から九州まで全国の寺院に和ろうそくを作り届けています
ろうそくは本堂を明るくして仏様のお顔を照らす役割があり、寺院にとっては欠くことのできない大切なものです。また、その作法に決まりがあり、寺の間口や燭台の大きさによってろうそくのサイズが定めれています。最盛期は京都におよそ80軒ものろうそく屋が軒を連ねていたといい、丹治蓮生堂さんも大ろうそく屋の一つから独立したのだそうです。
和ろうそくの製作は、すべての工程が手作業で行われます。灯芯には筒状の和紙にイグサの髄を巻いたものを使用し、九州で採られたハゼの実を絞ったロウが生地に使われています。植物製のロウを使うためすすが出にくく、また芯の中を空気が通るため最後まで形を崩さずに美しく燃え続けるのが特徴です。
現在修業中の丹治雄樹さんにお話をうかがいました。
三代目の丹治潔さんの息子・丹治雄樹さん
修行を始められてどのくらいですか?
また、この道に進んだきっかけはなんですか?
もう10年前になりますかね。
幼い頃からはっきりと決めていたわけではありませんが、大学生の時から父親の手伝いをしていました。
仕事をしていて大変だったことは?
報恩講の前が一番忙しいです。全国の寺院から注文が殺到、一日中座りっぱなしになることも…。
また、ロウの原料となるハゼを採取する人手が減少しており、原材料の確保が年々難しくなっています。
この仕事をしていてよかったと感じたことは?
和ろうそくを納入したお寺が実際に使って下さるの見るとやり甲斐を感じますね。
納入先に良さを分かってもらえるとうれしいです。
ろうそくに対するこだわりは?
丹治蓮生堂は昔ながらの変わらぬ製法で和ろうそくを作り続けています。
うちのろうそくは上等、いっさい手を抜いていません。
【報恩講】
仏教各宗派で、毎年宗祖への報恩のために営む法会のこと
作業風景
ロウの塊を鍋の中で溶かします
ロウを鋳型に流し込みます
鋳型に込められ固まったロウ
ロウが冷えて固まると、型から取り出します
仕上げにろうそくの表面に白いロウをかけます
端を切りそろえて完成です!
店頭に並ぶろうそく
暗闇の中で揺れる控え目な和ろうそくの優しい光は、西洋キャンドルとは異なる雰囲気を作り出し、見る者の心を和ませてくれます。
これからも伝統の灯りを絶やさずに伝えていっていただきたいですね。
丹治蓮生堂さん、ありがとうございました。